研究の特色
実験設備
研究設備として特徴的な点は、国内有数のパルス強磁場を用いた強磁場施設を
有し、ミリ波・サブミリ波光源を用いた強磁場電子スピン共鳴(ESR)の実験では 世界的に見ても他に類を見ない領域をカバーしている設備です。
Topics: 強磁場、
極低温、
高圧、
高周波
測定手段
パルス強磁場設備を用いた各種磁性測定を行っております。
- ESR
電子のスピンを探針として用いる電子スピン共鳴(ESR)は、物性を担う電子の状態を詳細に知ることの測定手段です。極限物性物理学研究室では、
一般のESRの測定で用いられるX-band
ESR装置の他に、より高分解能なミ リ波・サブミリ波ESR装置による測定を行っています。
- サイクロトロン共鳴
物質の電気伝導は、フェルミ面近傍にある電子が担っています。フェルミ面の観測は、ドハースファンアルフェン振動の測定、サイクロ
トロン共鳴、磁気抵抗の角度依存性などがあります。極限物性物理学研究室では、このうちのサイクロトロン共鳴による電子の有効質量、フェル
ミ面の観測を行っています。
- 磁化測定
物質の磁気的性質のうち磁化はマクロな情報を与えてくれます。反強磁性体では、磁場によってスピンフロップ相転移やメタ磁性転移
などの相転移を示すことがあり、磁化測定では相転移の情報を得ることができます。極限物性物理学研究室では、パルス強磁場を用いて55Tまで
の磁化測定を可能にしています。
- 帯磁率測定
帯磁率測定は、磁化測定とならび基本物性測定のうちの一つです。 帯磁率の温度依存性を測定することによりその物質の磁性相が温度に
よってどう変化するのか知ることができます。帯磁率測定により測定物質の品質の評価を行うこともできます。
- 光励起サイクロトロン共鳴
半導体などでは、紫外光を照射することにより伝導帯にキャリアーを励起することができます。この励起した伝導電子のサイクロトロン共鳴
を行うことにより、フェルミ面の情報を得ることができます。また、その照射光依存性や温度依存性からバンドのエネルギーギャップを見積も
ることができます。極限物性物理学研究室では、X-band帯とミリ波帯、サブミリ波帯での測定を行っています。
- 放射光分光
物質に光をあて、その透過光強度・反射強度の光の波長依存性を測定することにより、物質のフェルミ面近傍の電子のエネルギー状態を知る
ことができます。この手法は分光と呼ばれており、一般的には光源として水銀ランプを用いるのですが、より広い波長領域に渡り高強度の光を
得られる光源として放射光の利用が進められています。極限物性物理学研究室では、岡崎にある分子科学研究所の放射光施設UVSORで実験を行っ
ています。近年、世界最高の放射光施設として兵庫県播磨にSpring-8が建設されましたが、その利用も現在検討しております。
研究対象物質系
極限物性物理学研究室では、次に挙げるような物質系について研究をおこなっています。
Topics: 酸化物反強磁性体、 高濃度磁性ドープ半導体、 有機導体、 金属錯体、 有機磁性体、 低次元量子スピン系、
スピンフラストレーション系、 遷移金属磁性、 薄膜磁性、
発表論文リスト
出版論文リスト
太田仁教授、大道英二准教授、
大久保晋准教授